政治評論ブログ 10区

匿名で勝手に政治評論

希望の党よ 野党の核となれ

もうしばらく様子見が必要だが、少なくとも最悪の方向には行ってないと思う。

 

玉木雄一郎氏「人事一任された」  希望、小池百合子氏と再会談へ

11/12(日) 21:51配信

産経新聞

 希望の党玉木雄一郎共同代表は12日のフジテレビ番組で、小池百合子代表(東京都知事)から党役員人事について一任されたと明らかにした。小池氏との10日夜の会談を振り返り「人事も含めて『任せます』と言ってもらった。委ねてもらった」と述べた。両氏は13日午前、人事や党運営をめぐり都内のホテルで再び協議する。

 玉木氏は10日の会談に関し「これからの日本に必要な政策、方向性について突っ込んで話した」と、外交や社会保障政策を含めて意見交換したと説明した。

 同時に「東京と地方が連携してやれることがある。都知事が代表の党なので、他党にできないことを打ち出したい」と意欲を示した。

 

党内の「小池降ろし派」が割り出され、それが小規模である事が確認された事は、希望の党が今後前進していく為に必要な儀式だ。もちろん玉木氏を支持した中に隠れ反小池派がいるのは間違いないが、 当面は表には表れないだろう。

希望は小池代表を降ろしてはならない。それはもちろん東京オリンピックを控えているからであり、小池都知事が代表である事は、他党にはない大きなアドバンテージだからだ。自民党は小池氏が代表である限り希望を無碍には扱えない。場合によっては公明党以上の発言力を確保する事も難しくは無い。

党人事においては、細野氏や長島氏といったチャーターメンバーを重用することを、連合が警戒しているとの報道もある。起用するかしないかはともかく、人事に連合の意向を反映させる意味はほとんど無い。連合なんぞ立憲民主にくれてやる、くらいの気概をもって党運営するべきだ。まずやるべきは、党の地方組織の充実で、参院選までに都道府県連本部を全て自前で立ち上げられるかが勝負だろう。小選挙区支部は後回しでいい。活動してれば必要に応じて出来てくるはずだ。

現実的に政権交代を成し遂げる行程を描くなら、10年程度のスパンで考えなければならない。当面の目標は自公両党を過半数割れに追い込む事だが、別に自陣営が過半数を取る事は必須ではない。第二勢力を維持した上で自公より議席が少ないなら、首班指名自民党総裁を書けばいい。実入りが大きいなら連立すればいいし、そうではないなら閣外協力に留めて是々非々路線で行けばいい。大切なのは常に権力の傍にいる事を目標とし、権力に影響を与える立場である事だ。

とにかく求めたい事は、安易な対立軸とポピュリズムに踊らされない事だ。特に外交安保議論では努めて現実路線で政策を煮詰めてもらいたい。自民党の安保政策が最高ではないが、だからといって夢のような平和外交を語る野党は、社民党共産党でおなか一杯だ。政権を獲りたいなら、奪う票は自民党支持層だ。

日本の選挙制度小選挙区制であるのなら、目指す方向はリアリスト二勢力とドリーマー野党という三極構造だろう。その一翼を担う自覚を持った野党になって欲しい。

 

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連合の失墜 修復の前に反省を

野党の分裂劇の主犯を問われれば、真っ先に「連合」と答える。

立・希、地方組織づくり進まず=統一選、参院選へ課題山積

11/11(土) 14:41配信

時事通信

 立憲民主党希望の党の地方組織づくりが進んでいない。

 民進党が存続し、職員を確保するめどが立たない上、都道府県連の設立、運営に必要な資金も乏しいためだ。立憲、希望両党とも2019年の統一地方選参院選での勢力拡大をにらむが課題は山積している。

 「地元では地方組織立ち上げに向けた努力をいただいている。大変だが頑張って前に進んでいきたい」。立憲の枝野幸男代表は8日の党会合でこう語った。

 枝野氏は12日、名古屋市議補選(19日投開票)の公認候補の応援で現地入りする。衆院選で健闘した愛知でいち早く県連が立ち上がったのを受けた動きで、立憲としては地方での勢力拡大の足掛かりにしたい考えだ。

 ただ、こうした例は少なく、衆院選後も地方組織は各地で未整備状態が続いている。党幹部は「県連となるとカネが必要だが、党のどこにもない」と説明する。

 希望の玉木雄一郎共同代表も「地方の充実・拡充を図りたい」と意欲を示すが、安易に民進党から地方議員を引き抜こうとすれば、同党や立憲との摩擦は避けられない。希望幹部は「本当に大変だ」とこぼす。 

 

 民進党・立憲民主党希望の党の3党ともに、地方組織として現実的に期待できるのは連合だ。衆議院選挙においても分裂しながら個別に連合の支援を受けた結果、各党に連合の支援を受けた議員が分散した。選挙後に支援の御礼と今後の協力を要請しに「連合詣で」をしたようだが、内心は複雑だろう。

地方組織の崩壊の責任は、連合会長の神津氏にある。民進党の希望への合流という一大事において、小池氏の人気にあやかるばかりで、分裂含みになると「どうなっているんだ」などと人事のような発言に終始した。その先見の明の無さと指導力不足は、会長辞任に値する。

連合にはそもそも、共産党との選挙協力によって同じ陣営として活動することに、抵抗感を持つ会員や職員も多かった。連合は様々な組織の集合体であり、中には共産党と長い歴史の間対立する組織もある。民進党の内部分裂は共産党との野党共闘で決定的になっていた。知事選や参院選ならともかく、政権選択の衆院選での共闘には民進党自体も揺れていた。連合と民進党が目先の結果を追いかけて、大事な事を後回しにし続けた報いでもある。

希望の党の立ち上げが野党に投げかけた問いは、突き詰めれば共産党との共闘の是非に他ならない。いわば、民進党のアキレス腱そのものだ。一夕一朝で解決するような問題ではなかったはずなのに、なぜか民進両院議員総会では全会一致で承認されてしまった。臭い物に蓋をして突き進んだ結果、あっけなく崩壊した。排除発言があっても無くても分裂は不可避だったのだ。

前原氏は今になって「小池氏は強気だった」と言っているようだが、誰がどう考えても事態は「民進党の身売り」であり、民進党を「売る」と決めたのなら頭を下げてお願いすべき立場は前原氏と神津氏だ。連合は希望支援を掲げるのなら「離党して共産党共闘する候補は支援しない」と明言すべきだった。ところが逆に立憲民主党を全面に近い体制で支援したばかりか、民進党を事前に離党した候補への対抗馬すら支援した。この頓珍漢な状態は連合の各組織に大混乱をもたらしている。地方組織の中核たる連合はその組織に深刻なダメージを受け、政界への影響力を大きく後退させた。目の前の政局に右往左往し事の本質を見誤った結果、議席よりもっと大事なものを失った。

連合は希望と立憲それぞれを今後も支援するようだが、その路線はいずれまた崩壊するだろう。共産党との共闘の是非、その問いに答えを出す勇気が無いのであれば、もはや連合が一丸となって一つの勢力を全面支援する体制は作るのは不可能だ。

 

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自民党は少し浮ついている

責任ある立場なら当然の見解だ。

<自民・細田氏>参院選改憲国民投票 同時実施に慎重姿勢

11/10(金) 20:34配信

毎日新聞

 自民党細田博之憲法改正推進本部長は10日、毎日新聞のインタビューに応じ、2019年夏の参院選改憲案の国民投票を同時に実施する可能性について「改憲案の議論が選挙戦に左右される。おのおのを独立して考えるのが筋だ」と慎重な考えを示した。

 自民党内では来年中の国民投票を目指す意見や、19年参院選と同時実施する案もある。細田氏は来年の国民投票実施について「スケジュールありきでは『せいては事をし損じる』だ」と指摘。参院選との同時実施についても「(有権者が)支持政党が改憲に反対しているから国民投票も反対だとなり、問題を整理しにくい」とマイナス面を強調した。

 自民は党改憲案の年内策定を目指して議論を始めている。細田氏は「自民党内で異論なく作った改憲案が、多くの党に受け入れられることが要件だ」と語った。【田中裕之】

 

 もし自分が憲法改正案を国会に発議する立場だったとしたら、参議院選挙と同時には絶対にやらない。参議院選挙は政権選択ではない上に中選挙区なので、野党の共闘へのハードルが低い。民進党出身議員の一部が、恥も外聞も無く再結集を訴えるのはこれが原因だ。加えて報道も、選挙と憲法改正が一体となって扱われてしまう。必ずマイナスに作用するだろう。衆議院選挙の勝利に浮かれるのは勝手だが、こんな事もわからない様では頭が軽すぎる。

なにより、肝心の改正案がまだまだ生煮えだ。スケジュールを語れるような段階ではない。もう一度衆議院選挙で信を得てから、いよいよとなったら安倍政権の次の政権になってでも、このくらいの腹を持って進めるべきだ。

9条ひとつ取っても、2項改憲なら賛成だが3項加憲なら反対だ。2項の戦力不保持と3項の自衛隊明記では、どうやってもふたつの条文で矛盾が生まれ、新たな解釈論争の火種にしかならないと思う。そんな中途半端な改正案なら否決されて、新たに憲法議論を立て直したほうが絶対に日本の為になる。

そもそも9条は既に閣議で解釈が変更され、それをもとに安保関連法案も成立した。9条改憲は差し迫った課題とは言い辛い。望まれているのは、多くの国民が納得できる憲法だ。決して安倍政権のレガシーを望んでいるわけではない。

 

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政権の緩み 大幅な人事刷新が必要

重鎮とは、伊達に経験が長いだけではない。

 

自民・伊吹氏、萩生田氏を念頭に苦言 「マスコミにべらべらしゃべるんじゃない」

11/9(木) 19:22配信

産経新聞

 自民党伊吹文明衆院議長は9日の二階派会合で、萩生田光一幹事長代行が安倍晋三首相と面会後、国会の質問時間配分をめぐる首相発言を記者団に明かしたことを念頭に、苦言を呈した。「国会については幹事長が責任者だ。マスコミにべらべらしゃべるんじゃなくて、幹事長にきちんと報告をしてどうするかをやらなくちゃいけない。ルーズになっている」と語った。

 萩生田氏は衆院選後の10月27日、首相と官邸での面会後、国会の質問時間に関して首相が「これだけの民意を頂いた。われわれの発言内容にも国民が注目しているので、機会をきちんと確保していこう。その努力を党もやってほしい」と発言したことを記者団に紹介した。

政権が長くなれば、どうしても緩みが出る。 モリカケは致命的政治スキャンダルにまで発展はしないだろうが、政府与党に反省材料が無いとはとても言えない。

安倍政権の求心力の源は圧倒的な選挙の強さだが、これにはカラクリがある。小選挙区制による死票と、目を覆うばかりの野党のだらしなさだ。積極的に支持されているわけではなく、消去法で残るのが自民党なのだ。党内で総理と距離を置く議員から、選挙後に「議席ほどの支持はなかった」といった声が多くきかれたのは、現状認識として正しい。総理自身も「謙虚な政権運営」と繰り返してはいるが、こういった時には、重鎮の言葉にはいつも以上に耳を傾けるべきだ。

国会議員は選挙によって有権者の信任を得た国民の代表であり、初当選であろうが比例復活であろうが、ベテランと同列に国民の声を代弁しなければならない。そこに上下関係は無く、あるのは役職の差だけだ。組織には指揮系統があり、もちろん自民党のトップは総裁である安倍総理だ。

しかし組織を安定させ円滑に運営していくために、ときに役職の壁を越えて先輩議員に助言を請い、苦言を受け入れる事はとても重要だ。維新の会もゴタゴタしたが、政党に所属する政治家は各個人が国民の代表者であり、同時に組織の一員でもある。目上の人間に敬意を払えないようでは、組織人としても政治家としても失格だ。中堅と重鎮との差は、目に見える以上にあるものだ。

 

安倍政権には他にも気になっている点がある。政権の屋台骨を支える菅官房長官の答弁に、どことなくトゲを感じる場面が増えてきた事だ。菅氏に関しては驕りや緩みというよりは、精神的な疲労の蓄積ではないかと思う。考えてみれば自民党の政権復活以降の5年間、総理を支え続け歴代最長の任期を更新し続けている。内閣のスポークスマンとして連日の記者会見に加え、首相の懐刀として重要課題には常に中心的役割を果たしてきた。政権にとって最も、余人をもって替えがたい人物である。それは同時に菅氏が国民の不信を買えば、政権は途端に立ち行かなくなる事も意味する。

安倍総理は今後、自民党総裁選で三選された後に宿願である憲法改正に動き出すと見られている。その発議の段階までには、政権の核である菅氏と麻生氏の交代をするべきだろう。麻生氏には一線を退いてもらい、菅氏は今回で衆議院議員を引退した高村副総裁の任期満了にあわせ、副総裁として党の憲法改正案作成を主導してもらってはどうだろうか。おそらく現状では、このぐらいの事をしないと国民投票過半数は遠いと思われる。

問題は、菅氏に代わる官房長官に誰を充てるかだ。総理とある程度距離があり、しかも女性である野田聖子氏が適任と思うが、一番のサプライズは小泉進二郎氏か。安定感をとるなら萩生田氏だが、今の段階では印象が悪すぎる。官房長官交代がもしあるのなら一番可能性が高いのは河野太郎氏だろう。

いずれにせよ、政権の揺るみを引き締めない事には国政にも影響する。多くの声に耳を傾けて、場合によっては大幅な人事刷新も必要だろう。議席ほど支持されているわけではないのだから。

 

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ヘイトスピーチ規制と表現の自由

 時代の流れではあるが、事前の規制までいくと違和感も感じる。ふたつの大きな問題を提起したい。

ヘイトスピーチ、事前規制 川崎が初指針、施設不許可も

11/9(木) 14:41配信

朝日新聞デジタル

 川崎市は9日、外国人への差別的言動などヘイトスピーチの恐れがある場合に、市の公園などの公的施設の利用を事前に規制できるガイドライン(指針)を公表した。ヘイトスピーチを事前に規制する指針は全国初という。来年3月末までに施行する。

【写真】ヘイトスピーチのデモを阻止しようとプラカードなどを掲げて座り込む人たち=2016年6月5日、川崎市中原区、杉本康弘撮影

 指針では、「ヘイトスピーチが行われる恐れが客観的な事実に照らし、具体的にある場合」に、警告や公的施設の使用不許可や条件付きの許可ができるとした。利用を許可した後に、ヘイトスピーチが行われる恐れがあると分かった場合は、許可を取り消せる。

 施設利用の申請書類ではヘイトスピーチが行われるかが分からなくても、申請者側のそれまでの活動歴や、インターネットでの情報発信などから総合的に判断するという。

朝日新聞社

まず、法務省の提示したヘイトスピーチの例は特定の国籍にまでは言及されていない 。しかし実例を鑑みるに、韓国や北朝鮮、そして中国を強く意識したものに見える。もちろん声高に口汚くヘイトを撒き散らすのは恥ずべき行為であり、取り締まる法的根拠が必要なのは理解できる。しかし取り締まるべき「ヘイト」は、あくまでも過激で差別的な表現であるべきだ。「特定の対象へ向けたデモや集会」が対象ではない事を強く打ち出さないと、恣意的に運用され政治利用の危険もある。

そしてもっと問題なのが、デモや集会の主催者の素性次第で「事前に」これはヘイトだと判断されてしまう点だ。つまり特定の対象に「こいつらはヘイトスピーチをする奴らだ」とレッテルを貼ることを、法的に認めてしまいかねない。これでは取り締まるべきヘイトスピーチと、方向が逆なだけで論法は同じではないか。表現の自由は無制限ではないが、表現したものが駄目と判断されるのと、表現する前に駄目だと決め付けられるのとでは意味が全く違う。

ヘイトスピーチの取締りの強化はするべきだが、あくまでも現行犯でなければならないと思う。これは表現の自由の「種類」ではなく「運用」の問題であり、事前での選別は危険だ。なんでも禁止にすれば良い訳ではない。

 

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暴力資本論 世界はこんなにも悲しくドライだ

平和的、外交的に解決する。もちろんそれが最高に望ましい形だ。

トランプ氏来日 共産・志位和夫委員長「両首脳の『危険な無策』があらわになった」

11/6(月) 18:02配信

産経新聞

 共産党志位和夫委員長は6日の記者会見で、安倍晋三首相とトランプ米大統領による日米首脳会談について「北朝鮮問題では対話による解決を否定し、米国による軍事力行使を容認する従来の主張の繰り返しだった」と述べたうえで「外交的解決のための方策は一切語られず、両首脳の『危険な無策』があらわになった」と批判した。

 志位氏は「安倍首相は偶発的な軍事衝突をどう避けるのかに対する答えがない」とも指摘したうえで、米朝による直接対話を求めた。さらに両首脳が共同記者会見で「米国が北朝鮮へ軍事攻撃した場合、日本人拉致被害者をどう救出するか」との質問に明確に答えなかったことを捉え「常に深刻なところで両首脳が答えを持っていないことが露呈した」と語った。

朝鮮半島危機に際して軍事的圧力を否定する人々とは、そもそも軍事緊張状態での外交のもつ意味が僕の理解とかけ離れているのかもしれない。極論すれば暴力こそが究極で絶対の外交力であると僕は思う。仮に、暴力資本論と名付けよう。

国家ほどの大きな集団でなくても、例えば数人の集まり同士、もっといえば個人同士であっても、自分と「自分以外の誰か」が接触を持ったときには、多かれ少なかれ必ず摩擦が発生する。それを解決する最も単純で純粋な手段が「暴力」だ。他人の持っている林檎が欲しいから殴って奪う。それを阻止する為に、人を殴ってはいけないというルールを作る。抑止力となるのは、もっと大きな暴力を背景とした罰だ。

人間はその理性で暴力と罰を恐れる事ができ、それはやがて規律となり信仰や善悪の価値観を生み出した。だから人間にとって暴力は悪だ。誰かを殴って手に入る林檎はひとつだが、金貨一枚で買える林檎は五つだとしたら、金貨一枚は5回分の暴力の価値がある。非暴力は、もっと大きな暴力の庇護の下にあり、人が行う全ての営みは「暴力ではない何か」である。使われない暴力は見えない資産となり、見えない税として権力や権威に集まっていく。たとえば王は非力な老人であったとしても、資産としての暴力を背景に王としての地位を確立している。それは兵力ばかりではなく、権威だったり信用だったり味方の数だったり、あるいは歴史的正当性だったりするが、それら全てを含めた、見えない資産としての暴力だ。

金本位制を絶対的価値観とする経済の概念すらも、金を価値と認めさせる背景としての暴力が必要だ。社会の要素の全てが、暴力か、それともそれに変わる何かかで出来ているのだ。

僕は暴力など振るわないが、僕の行う全ての活動から生み出される価値もまた、僕が振るう事のできた暴力の総量といえる。人と人との上下関係や優劣は、お互いの能力・資産や信用、あるいは動員人数といった全てのリソースを、暴力に置き換えたときの絶対量の差である。個人や集団、もっと言えば国家であっても、提示できる暴力の量を他に換算して競っているに過ぎない。

外交は、暴力を用いない戦争だ。しかし用いないだけで外交力の背景は暴力である。しかも、実際に用いる事ができる総量だ。つまり北朝鮮に外交的勝利しつつ解決するためには、実際に北朝鮮をボコボコに出来る暴力が背景に無くてはならない。北朝鮮は国内外の多くのリソースを暴力として提示できるが、日本にはそれが出来ない。総量では圧倒的に勝っているのに、使えないのだ。日本の近隣諸国に対する独自外交力の無さは、ここに起因する。

しかし、日本は専守防衛を国是とすることで信用を得ている事も事実であり、そこで得た価値もまた日本の力である。そして日本の非暴力を庇護しているのが、圧倒的な暴力の量によって影響力を行使するアメリカということになる。日本は己が提供できる価値をアメリカに提示し、見返りに交渉の場で使用可能なリソースとしての暴力を得ているのだ。行使するわけではなくとも、交渉の背景として暴力が必要なのだ。

北朝鮮情勢のように、実際に交渉の場でリソースを暴力に変換しなければならない場合には、日本に外交交渉力など無い。あるけど使えない、ということだ。しかし例えば中東問題などのように、そこまで大きく日本が暴力を使用しなくて良い場合には、もっと積極的になっていいと思う。

ヨーロッパ諸国の指導者が極東アジア問題に「平和的解決を」と好き勝手に言うのは、身の危険が無いからだ。国内において戦略的意図に基づき同様の主張をする一部の層も同じで、平和の名のもとに正論を論じる事で徳を貯めている、つまりリソースとしての暴力を貯めている。日本も国家の戦略としてそうするべきだ。実際に、キリスト教国ではない日本だから言えることもあるだろう。

人間には欲があり、それを満たすために行動する。その全てが暴力か、その代用品だ。それは未来へのエネルギーにもなるが、歪となって破裂することもある。人間の社会は暴力でできている、それを忘れてはいけない。悲しいが。

 

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タックスヘイブンは現代のパンドラ

このニュースに触れ、「それみたことか民主党」「それがどうした安倍政権」系の記事は山のように書かれると思うので、ちょっと違った切り口で。

鳩山元首相、石油・ガス会社から顧問料 パラダイス文書

11/6(月) 10:51配信

朝日新聞デジタル

 パラダイス文書からは、元首相や元副大臣を含む国会議員経験者3人の名前がこれまでに見つかった。資産公開で記載されていなかった投資も出てきた。

【写真】香港の高層ビルにあるホイフーエナジーの事務所

 旧民主党参院議員で元総務副大臣内藤正光氏が議員2期目の2006年、タックスヘイブンケイマン諸島のファンドに10万ユーロを投資したことを示す書類があった。当時の為替レートで約1500万円。09年の副大臣としての資産公開では、その記載がない。

 内藤氏は取材に、「議員は将来が不安な中、海外の商品がいいと紹介された。タックスヘイブンとは知らなかった。何ら違法なことはしていない」と話した。資産公開については「失念していた」と説明した。

 鳩山由紀夫元首相は政界を引退した翌13年、バミューダに設立され、香港が拠点の石油・ガス会社「ホイフーエナジー」の名誉会長に就任。この人事を掲載した年次報告書などが文書に含まれていた。

 取材に対し、鳩山氏は「会社のトップと数年前に出会い、子どもの結婚式にも呼ばれた。その後、名前だけでも連ねてほしいと言われた。実質は何の意味もない。鳩山の名前で信頼を得たいと思ったのでは」と説明。同社は年次報告書をネットで公開しており、副会長にジョージ・W・ブッシュ元大統領の弟ニール・ブッシュ氏が就いている。

 鳩山氏は同社から顧問料を得ているが、金額は明かさなかった。バミューダとの関わりについては「知らない」と話している。

 文書には旧みんなの党参院議員の山田太郎氏の名前と住所もある。山田氏は議員になる前にIT企業を経営。この会社は当時、ケイマン諸島の会社を買収したことを開示していた。山田氏は「中国でシステム開発会社を買収したら、たまたまケイマンの会社だった」としている。(北川慧一)

朝日新聞社

 

富の再分配は、経済活動をしなければ生きていけない「人類」にとって究極のテーマであり、古来より主にふたつの方法で行われてきた。ひとつは、人民の合意の下で権力者が富を集め、恵まれない者に施す手段、つまりは「税」だ。貨幣の出現と共に税制は富と権力の象徴となり、税を司る王のもとに力が集中していく。税制が進歩を遂げるにしたがい、かつて小さな領主の寄せ集めであった「王の勢力圏」は、システマティックな中央集権に磨きをかけ、内と外の壁を明確なものにし、やがてナショナリズムに傾倒していった。

そしてもうひとつは、暴力によって富裕層や王を直接取り除く、あるいは富を収奪する方法である。革命や反乱、そして戦争にどのような大儀を名付けるかは様々だが、イデオロギーの根底はいつだって「富への渇望」と「貧困からの脱出」なのだ。中世的封建社会までの世界観の中では、これらの活動は罪ではあるが、貧富の差を解消するシステムでもある。傲慢な領主を裁く清貧な英雄や、悪の枢軸と対峙する正義の王の物語は世界中どこにでもある。

現代の資本主義経済が生み出した富の拡大と集中は、想像を絶する規模だ。そして現代の価値観の中では、後者の方法による富の再分配は明確に「悪」だ。もちろん世界から戦争が無くなったわけでも、今後無くなるわけでもない。しかし少なくとも、旧世界的な王ではない一個人である現代の富豪から、暴力で富を回収する方法は賛同を得られることはない。彼らには税以外に、富を奪われる理由がないのだ。

国土も兵も持たない罪無き新世界の王達から、どのように富を回収するべきか。資本主義はまだ答えを出せずにいる。いや、答えらしきものはある。それこそが社会主義であり共産主義だ。この蓋を開けるべきか、人類は岐路にいる気がしてならない。

 

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