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枝野氏は大きな枷を背負った 立憲民主党編

躍進した立憲民主党の枝野氏の最近の発言には興味深いものがいくつかあるが、なかでも「永田町の数合わせにはコミットしない」そして「30年前なら私は自民党宏池会」という二つに注目したい。

僕の枝野氏に対する評価は非常に高い。もし彼がそのキャリアを日本新党ではなく自民党宏池会でスタートさせていたら、間違いなく有力な総裁候補になっていたはずだ。押すべきポイントと引くべきポイントを弁えた優秀な政策家であり、本質はレフトリアリストであろう。

枝野氏にとって立憲民主党の設立は、やむにやまれぬ事態だった。また小池氏にとって排除リストに彼や野田前総理の名を入れたことは痛恨の失策だ。ボーダーは左右ではなく、リアリストかドリーマーかで判断すべきだったのだ。枝野氏は左派ではあるが現実は見えているからだ。

彼は民進党の代表選挙において野党共闘の継続に前向きだった。リアリストの枝野氏が何故ドリーマーの極みにある共産党との連携に抵抗なく進めるのか。それは政権構想が無いからだと思う。正確に言えば、この連携が過半数を超える事は無いと確信しているのだろう。現実的な射程距離を議席で言えば野党共闘で170前後、つまり憲法改正発議への発言力確保に定めていたはずだ。枝野氏は政権交代を目指してはいない。それを目指せば民進党が瓦解することを知っていた。

民進党は、政権交代を本気で目指し正攻法にこだわった前原氏によって崩壊した。枝野氏の元にはレフトドリーマーが寄り集まって純化し、政権批判票だけでなく同情票も集め、恐らく彼の想定以上の議席となった。希望には僅かなリアリストと多くのリアリスト崩れが取り残されカオスの極みにある。参院民進党や無所属組からは早くも立憲民主党を中心とした野党再編が叫ばれている。しかし安易な再合流は再びの崩壊を招くだろう。枝野氏が再合流に慎重なのは当然だ。

立憲民主党野党第一党になったことで図らずも枝野氏は野党の盟主となった。リアリストであるはずの彼は、いまやレフトドリーマーの希望の星である。今までの野党党首よりは国会議論は噛み合うのではないかという期待はあるが、共産党との関係をさらに深め党も左に純化した今となっては主張に大きな制限がかかるだろう。かといって右に舵を切ろうにも、粉々になった民進党の勢力まで戻すだけでも茨の道だし、戻したところで結局は共産党との関係に対する認識のズレで混乱する。

野党の抱えるジレンマ、次の衆院選までに答えは出そうにもない。