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絶望の先に明日はあるか 希望の党編

希望の党衆議院戦後の両院議員懇談会と総会において、共同代表のあり方や特別国会での首班指名の方針など、当面の道筋はつけたようだ。小池都知事の代表辞任が回避されたのは朗報だろう。だが影響力の低下は避けられない。党内では早くも結党の理念の根幹であった「リアルな外交安保政策路線」に疑義を唱える声が支配的との報道もある。オリジナルメンバーの中心人物であった細野氏や長島氏、若狭氏の心中を思うと察するに余りある。

しかしながら、彼らが当初想定したであろう保守新党と、それをリセットして小池氏が華々しく立ち上げた希望の党は似て非なるものだ。若狭氏の「今回政権交代が出来ないなら小池都知事は出馬しなくてもいい」発言は希望の党の勢いを削いだが、よくよく考えれば当然の事でもある。そもそも参議院に議員が誰もいないのに政権交代などできても、まともな議会運営ができるはずがないのだ。安易な拡大に走らず、骨太なメンバーを集め党を育てるべきだった。尤も、選挙戦序盤の細野氏と若狭氏の調子に乗った発言をみれば、自業自得でもあるのだが。

なぜ小池氏は焦ったのだろうか。自主的に民進党を離党したメンバーと新人だけでも、20から30議席くらいの新党は立ち上げられたはずだ。小池氏と安倍総理の関係は都議会議員選後もそれほど悪くなかった。連立してメンバーに閣僚経験をつませても良かったし、閣外協力に留め憲法議論に参加して見返りに五輪担当相に気心の知れた人物を当ててもらう戦略もアリだったはずだ。少なくとも、自民党都連はともかく本部にまで全面戦争を挑むには準備が足りなすぎた。おそらくまともな政権構想すら無かった筈だ。

小池氏と前原氏、それに連合の神津会長との会合で何が話されていたのか、前原氏の言うボタンの賭け違いとは何を指すのか、推測の域を出ない事ばかりだ。ひとつ確かなのは、今回の選挙の最大の敗者が希望の党であり、最もダメージを受けたのは連合である事だ。連合は先見の明の無さ、指導力の欠如、組織の弱体化を白日の下にさらし政界への影響力を大きく後退させた。もはや存亡の危機と言っていい。労働者の互助団体という本分に立ち返り、地道な活動から見つめなおす契機にしなければならない。

都知事選から続いた、ある種の熱病のような小池旋風も終わりを告げ、残されたものは自分が一番作りたくなかったであろう第二民進党とでも呼ぶべき出来損ないの集まりだけだ。都政においても求心力を失い、手のひらを返したメディアからは連日否定的なバッシングが繰り返される。希望の党の代表辞任は避けられないとの見方もあった。

だからこそ、小池氏が代表続投の意思を示した事は朗報であると思いたい。実際に彼女がこの逆境を跳ね返す方策はある。党内外の禄でもない議員と戦い続ける事、それを見せ続ける事、そして都政に真摯に取り組む事だ。日本人は基本的に弱者に共感するので情勢は必ずひっくり返る。それまで我慢を続け党を存続させ続ける事ができるかどうかだ。

日本の小選挙区制は、構造的に二大政党制には絶対にならない。日本には公明党共産党という強固な支持基盤と組織を持つ中規模政党が存在するからだ。とくに共産党の存在は厄介極まりなく、一方の勢力に共産党が入ると政権構想が破綻してしまう。また民主党政権の失政の記憶は多くの国民に深く刻まれている。もやは政権批判票がそのまま野党に入る事はない。ドリーマーに夢を見る時代は終わったのだ。

希望の党の登場に、本当に希望を感じた国民は自民党支持層の中にも多い。それは希望の党比例区で集めた1000万弱の票数にも表れている。絶望のまま終わるには、あまりにもったいない。