政治評論ブログ 10区

匿名で勝手に政治評論

政治家の説明責任とは

ことしの政治ネタで特に報道量が多いのが、いわゆるモリカケ問題だろう。初期報道から半年以上の時間が過ぎ、その間もメディアや野党が徹底して調査したであろうが、現在まで決定的な贈収賄などの物証は何一つ挙がっていない。もちろん安倍首相に隙があったのは事実ではあるが、これが総選挙での投票行動に大きく影響しなかったという事が、今回の衆議院選挙での自民党の勝因のひとつだ。

選挙間近になってメディアの政治評論家やコメンテーターの発言にあるひとつの変化がうまれた。「説明責任とは、国民が納得しないと果たした事にならない」との論調だ。なるほど、と納得してしまいそうな表現だが、よく考えると無茶苦茶である。納得しないと決めている相手に説明責任を果たすのは不可能ではないか。ならば僕は問いたい。従軍慰安婦における吉田証言の誤報問題で、朝日新聞をはじめとするメディアは謝罪記事を出した事で説明責任を果たしたと思っているようだが、僕はまったく納得していないから更なる説明を求めたいと。

綺麗ごとを抜きに、結局説明責任なんて言葉遊びだ。司法の介入する自体でもない限りパワーゲームに過ぎない。説明するほうはこれで責任が果たせるなんて思ってないし、説明されるほうも納得する気も終わりにする気もないのなら、それは茶番だ。日本は法治国家なのだから納得できないなら司法の場で争えばいいのだ。安倍政権は一連の疑惑報道で支持率を大きく落とした。贈収賄や背任などの事件性はない。ロッキードリクルート、佐川急便のような事態にはならない。これ以上国会の場で何をすれば納得できるのか? もう双方このパワーゲームに勝ち筋はない。

森友学園の用地値引きに関しては、まずその土地に何故そんなにゴミが埋まっているのか、一体どういう使い方をした土地なのかという論点が抜けている。国有地の払い下げを定価で買うほうがレアケースだし、周りの地価に合わせて定価を算出し値引きで帳尻を合わせる手法は珍しいものではない。豊洲は逆のパターンで、売主の東京ガスにしてみれば生鮮市場用地として売るなんて面倒この上ないのだ。あの立地と面積なら商用地や住宅地として放っておいても売れる土地を、東京都はどうしても欲しかった。足元を見られるのは当然で、瑕疵担保責任を求められる契約なら売主は売らないだけだ。

加計学園獣医学部新設をめぐる特区の問題にしても、認めるか認めないかはこの際どうでもいいのだ。もし加計氏が安倍総理ではなく例えば当時の蓮舫代表の友人で大陸系のルーツの人物だったとして、新設の特区申請を認めなかったとしたら、今とはまったく逆のパターンで疑惑になっていたと断言できる。宮崎の口蹄疫で大変だったのに、60年も新設されてない獣医学部で特区を認めないのはおかしい。蓮舫代表の友人だからじゃないのか? 総理は特区を私物化し行政をゆがめていると。現在は内閣府が悪玉で文科省が善玉になっているが、それがひっくり返るだけだ。

政治家にとって言葉は命だ。だから説明する責任はある。しかし納得するかしないかは相手次第なのだから、納得させる責任をはたすのは不可能だ。