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そもそも行政は歪む

加計学園を巡る一連の疑惑報道で、度々に耳に入る「行政が歪められた」という言葉について見解を述べたい。この問題の本質は、特区申請の認可において首相が自分の友人である事を理由に、加計学園を優遇したのか否かという一点に尽きる。言い換えれば、特区が認定される判断基準に首相との距離が考慮されるか否かということだ。

先の記事で述べたことだが、今治市獣医学部が必要かどうかはこの際どうでもいいのだ。仮に加計氏が首相に批判的な人物で、特区申請が認められていなかったとしたら、今とは逆の展開でやはり疑惑になっていた。もちろん、獣医学部を新設しても獣医師が犬猫病院ばかりに集まれば結局、公務員獣医師の人手不足は解消されない。だから公務員獣医師の待遇改善などは行政としても対策しなければならない。一方で加戸前愛媛県知事の証言にもあるように、今治市獣医学部新設は地元自治体からも要望されており、与野党問わず地元選出の国会議員も誘致に積極的に関わって来た。地元が望んでもいないものを首相が強引にねじ込んだという話ではない。つまりどっちに転んでもどちらからか批判が出る種類のものだ。

文部科学省だけに限らず、行政機関である中央省庁というものは立法府である国会が決めた法律を、全国一律に適正に運用する事が仕事だ。時にそれは融通がきかず頭の固いお役所仕事とも揶揄されるが、法治国家である以上尊重すべき正しい価値観だ。そして実際の行政の現場では様々なケースがおこり、そのたびに法律に照らし合わせてどう運用するか行政判断が行われる。だから政府でも自治体でも、行政のトップは選挙によって有権者の信託を得た政治家でなければならず、行政のトップは部下である公務員を監督し、場合によっては人事権を発動できるのだ。行政は画一的なものではあるが、ある程度のフリーハンドな部分がないと上手く運用できない。

その最たる例が特区制度だ。全国一律の法運用では地方ごとの問題に対応しきれない時に、必要に応じて内閣主導で特例を認める。つまり法に基づいた特別扱いで、最初から全国一律の行政を歪めるためにあるものだ。

今回の場合、例えば贈収賄の証拠でもあれば当然アウトだがそれがない以上、特区認可の判断に首相と加計氏の関係性が考慮されたか否かを証明する事は不可能であると言っていい。総理と近しい人の特区申請は認めてはならず、批判的な人の申請は認めなくてはならないのだとしたら、そっちの方がよっぽど歪だ。

厳しい事をいえば、文科省事務次官であった前川氏は公務員であり、行政を正しく運用する立場であって重大な行政判断をする立場ではない。その任にあるのは、選挙によって有権者の信託を得た政治家による内閣なのだ。彼には公民権があるのだから、どうしてもおかしいと思うなら出馬して政治家になる権利もある。もちろんどんな発言をしようと自由だが、どうにもポイントがずれている気がしてならない。

 

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