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小選挙区制の異分子 共産党編

衆院選の結果を受け、野党の共闘が全選挙区でなされていたらもっと議席は接戦だったとの新聞各紙の記事を見る。しかし、実際には野党共闘は崩れた。野党にもそれぞれ事情があるから割れたのだ。

共産党は特異な政党だ。各選挙区に20,000票ともいわれる固定票と、それ以上のアンチをもつ。全選挙区に候補を出し、比例票を積み上げ少数だが確実な議席を確保する、いうなれば孤高の野党だった。方針が変わったのは2016年4月の北海道5区の補選だ。町村議員の死去に伴うこの補選で、町村氏の娘婿を後一歩まで追い詰めた池田真紀氏が、史上初の野党統一候補だった。これをきっかけに民進党の当時の岡田代表野党共闘に舵を切った。これ以来、参議院選といくつかの知事選、自治体の首長選で野党共闘は一定の効果は発揮した。

しかし共産党は野党にあっても非常に異質で、そしてレフトドリーマーとして最たる政党だ。主張は一見して護憲ではあるが、あくまで党是である共産主義革命の前段階としての民主主義革命を旨としており、そのための国民連合政府を目指す共闘なのだ。ライトリアリストである自民党政府に対抗する為の、レフトドリーマー同士の共闘は親和性が高いのは事実だ。しかし、それは自民党に対抗するという大義名分がなければ成り立たない、自民党という与党に依存した野党としてしか通用しない歪な共闘と云わざるを得ない。参議院や自治体の首長選、一部の補選ならともかく、政権選択たる衆議院総選挙で果たして共闘が成り立つのか? 共産党と政権を組めるのか? この問いから民進党が逃げ続けた結果が今回の衆院選だ。

今回共産党が得たものは、レフトドリーマーの純化共闘がある程度の集票力を発揮した事実であり、立憲民主党に恩を売った引き換えに議席を差し出した。しかし、合わせても70議席程度だ。天井は恐らく100だろう。立憲民主党が党勢を右寄りに広げたときに、比例票を共産党に回せるかどうか、それに支持者がついてくるかは甚だ疑問だからだ。共産党自体がどこまでマイルド路線になれるかが鍵だが、それがアイデンティティを失わせ固定の支持者を失望させる危険もはらむ。

小選挙区制度において、共産党の存在は与党を磐石にし野党を常に悩ませる。